年末が近づくと、大掃除や帰省準備で慌ただしくなりますよね。
そんな忙しい時期だからこそ、お部屋の小さな異変を見落としがちです。
特に注意したいのが水漏れです。
「ちょっとだけ濡れてるけど、後で対応しよう」と放置してしまうと、思わぬ大きなトラブルに発展することがあります。
今回は、実際にあった水漏れトラブルの事例をもとに、なぜ放置が契約違反につながるのか、そして入居者の皆様ができる予防策について詳しく解説します。
実際にあった水漏れトラブル事例

ある日、アパートの入居者様から「階下の天井から水が落ちてきている」という緊急連絡をいただきました。
すぐに調査を開始したところ、原因は上階の浴室のお湯が室内まであふれたせいでした。
上階の入居者様にお話を伺うと、こんな回答が返ってきました。
「実は昨日の夜シャワーを出しっぱなして寝てしまい、床をだいぶ濡らしてしまいました。簡単に拭いたのですが、年末で忙しくて、そのまま出勤してしまって…」
残念ながら、この放置により、階下の天井ボードが広範囲にわたって水を吸収し、下の階の被害が大きくなってしまったことはもちろん天井やクロスの貼替工事が必要になってしまいました。
もし異変に気づいた時点ですぐにご連絡いただいていれば、部品交換で済んだ可能性が高いケースでした。
なぜ水漏れの放置は契約違反になるのか?

賃貸借契約書には、入居者様に守っていただくべきルールが記載されています。
水漏れに関わる主な条項は以下の2つです。
① 善管注意義務(善良な管理者としての注意義務)
借主は、お部屋を通常の注意を払って使用・管理する義務があります。
これは法律でも定められた基本的な義務です。
② 通知義務(異常を発見した場合の速やかな連絡)
設備の故障や損傷を発見した場合、すぐに管理会社や家主へ報告する義務があります。
水漏れを放置すると、以下のような問題が発生します。
- 修繕範囲が拡大し、費用が増大する
- 階下や隣室に二次被害が及ぶ
- 建物の構造部分まで損傷する可能性がある
このため、「必要な注意を怠った」「連絡義務を果たしていない」と判断され、契約違反とみなされることがあるのです。
費用負担はどうなるの?

水漏れトラブルの費用負担は、状況や契約内容によって異なりますが、一般的な考え方は以下の通りです。
早期に連絡していれば不要だった修繕費
→ 入居者負担となる可能性があります
階下や隣室への被害
→ 過失が認められれば、損害賠償責任を負う場合があります
放置による被害拡大分
→ 「過失あり」と判断されるケースが多いです
重要なポイントは、放置する期間が長いほど、入居者様の負担が増える可能性が高くなるということです。
火災保険(家財保険)に加入している場合は?
多くの入居者様が加入されている火災保険には、「借家人賠償責任保険」や「個人賠償責任保険」が付帯されていることがあります。
ただし注意が必要なのは、保険が適用されるのは「突発的な事故」の場合がほとんどという点です。
- 保険適用される可能性が高いケース: 突然の配管破裂、予期せぬ水漏れなど
- 保険適用されない可能性が高いケース: 異変に気づきながら放置した場合、定期点検を怠った場合
つまり、水漏れを認識しながら放置した場合など重過失がある場合は、保険に加入していても補償されない可能性もあります。
万が一に備えて保険に入っていても、早期の連絡・対応が何より重要です。
水漏れを見つけたら、すぐにすべきこと

水漏れを発見したら、慌てず以下の手順で対応してください。
✓ 1. 管理会社等へすぐに連絡する
土日や夜間でも、緊急連絡先がある場合は、24時間サポート等を遠慮なくご利用ください。
早期対応が被害を最小限に抑えます。
✓ 2. 元栓・止水栓を閉める
シンク下、洗濯機の給水、トイレなど、該当箇所の止水栓を締めることで、被害の拡大を防げます。
✓ 3. 状況の写真を撮る
後で状況を説明する際に役立ちます。
複数の角度から撮影しておくと良いでしょう。
✓ 4. 安全を確認する
電気周りに水がかかっていないか確認してください。
感電の危険があります。
年末年始に多い水漏れの原因と予防策

この時期に特に多い水漏れの原因と、その予防策をご紹介します。
給湯器の劣化
症状: お湯が出にくい、異音がする
対策: 異変を感じたら早めにご連絡ください
洗濯機ホースの外れ・劣化
症状: ホース接続部から水が滲む
対策: 定期的に取り付け状態をチェック。
古い場合は交換をおすすめします
結露による水たまり
症状: 窓周りや壁に水滴、床が濡れる
対策: こまめな換気と除湿。
放置すると床材やクロスが傷みます
排水管の軽い詰まり
症状: 異臭がする、水の流れが悪い
対策: 初期症状のうちにご相談ください
まとめ
水漏れは、発見が早ければ簡単な修理で済むことがほとんどです。
ですが放置すると、修繕費用が膨らむだけでなく、賠償責任を負うリスクも高まります。
「あれ?何か変だな?」
そう感じたら、すぐに対応することが大切です。
早めの対応が、結果的に皆様の負担を最小限に抑えることにつながります。
安心して年末年始を迎えるためにも、お部屋の状態をぜひ一度チェックしてみてくださいね。